おっちんして
ひとりでに
せんたくもん たたんでいる
きょうのゆうぐれも
かあさんに
ごはんのときには
ちゃんと おっちんしてたべなさい
いつもおこられていたが
せんたくもん たたむとき
おっちんしなさいと
おこられたおぼえはないが
えんかにもならない
つれあいとのくらしの
ごじゅうねんの
ねまき はらまき しゃつ ぱんつ
すててこ くつしたなど
ざらざらの まのびした
せんたくもん
おっちんしてたたんでいる
テレビは
わかさのおおいげんぱつ
3ごうき につづいて
4ごうき
きょうあさ6じ りんかいにたっした
25にちには フルかどうする
よていと しゃべっている
そのうち たかはまげんぱつもと
しゃべりだすに きまってる
おかしくはない
なさけなく
かなしい
ああ
あのころにもどれるものなら
しゃわりしゃわり うちよせる
なみのおとききながら
おひさんとしおかぜあびた
きふるしたゆかたでぬった
おむつを
おっちんしてたたんでいる
むすこは
てんじょうから ゴムでつるしたおしゃぶりで
てあしぱたぱたさせ あそんでいる
つれあいは
いちにちおくれの しんぶんよんでる
こんやのおさけのあては
つってきたばかりの
ぴかぴかの
いかのおつくり
げんぱつドームなんてなかった
わかさのいきどまりのむらの
ゆうぐれの
( 二〇一二・〇七・一九 )
*おっちん――正座する
*ひとりでに―自然に
わしなあ
あの夕日みとると
おとこのくせに
涙でてくるねん
おかしいやろ
そんなことあらへんで
わしかって
でるで
そうかあ
安心したわ
どっかで飲まへんか
電車は
近鉄橿原線
新の口(にのくち)あたりを
走っている
二上山の
たそがれ時
へいわ って なに
九歳のタカオに聞く
うーん
せんそうのないこと
へいわ って なに
十四歳のユキコに聞く
うーん
いじめとかないこと
辞書に
へいわ って なにと聞く
おだやかにおさまること
と言う
へいわ って なに
陽だまりの
野良猫に聞く
寝たふりをしている
紅葉の木の切り口から
南天の木が生え
一メートルにも育って
付近の人たちを喜ばせています
大きく育ってくれるといいですね
ラジオは
しゃべっている
私は
半紙に
愛と書く