高畑耕治『死と生の交わり』


祈り

(2)


祈れない
だから心に呼びかけるしかない
ひとの心に呼びかけるしかない
それも 無力にちがいない だから
ひとの心に呼びかけるそのままの気持ちを
自分の行動に注ぎ込むしかない
それも 無力にちがいない

だからといって
祈りを
ひとの心に呼びかけ働きかけたいという思いを
失ってしまえば そいつは
死物
あらゆる存在にたいして 人間にたいして
自分自身にたいして
何ものでもない くだらない 意味のない
物でしかない

「 救いはない 」
「 罪も罰も何もありはしない 」

< 祈らない >< 救いはない >と言いきり
それでも生き ひとを愛したと本当に言えるか



「 祈り (2) 」( 了 )

TOPページへ

『死と生の交わり』
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system