高畑耕治『死と生の交わり』


生と死の交わり

(1)


今、生きているひとりひとりのひと
 <生まれてしまったひとりひとりのひと>
これから生まれるだろうひとりひとりのひと
 <生まれてしまうだろうひとりひとりのひと>
ひとりひとりが 殺されずに生きることだけをねがう

わたしの思いには何の力・何の意味・何の真実もありはしない
救済を信じる祈りではないのだから わたしは
祈りたくないと感じているのだから
感じていられるのだから

死んでしまったひとりひとりのひと
 <殺されてしまったひとりひとりのひと>
死につつあるひとりひとりのひと
 <殺されつつあるひとりひとりのひと>
死ぬだろうひとりひとりのひと
 <殺されるだろうひとりひとりのひと>

死ぬ 殺される 人間ひとりひとりの
絶望 死にたいして
わたしのねがいは何ものでもない
嘆きにすぎない



「 生と死の交わり (1) 」( 了 )

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