高畑耕治の詩


 ぞうさん に

愛しい瞳


ぞうさん あなたはどこへ行ったのでしょう
悲しみをふり払おうと 夜空を見あげると
星の瞬き
なつかしいあなたの瞳
あなたのひかりに包まれるのです

やさしいあなたの瞳は
宇宙の海に揺れるこの星とともに
遠い世界をみつめていました
過去から未来へ差し込むひかりを
ふるえる水滴のようにたたえていました
おおきなあなたの耳は
遥かな時を越えて訪れる
星のひかりを吸い込み
星の囁きに羽根をひろげていました

あなたは叫ばないけれど
微笑みと悲しみに揺れる瞳で
この星のこころを伝えてくれるのです
「 どんなにつらく苦しいときにも
愛を失わないで
生きものは星の輝きだから
愛することが 輝きだから 」と

あなたの目が閉じませんように
この星が壊れませんように
愛が香りつづけますように
「 好き 」 ただそれだけのささやかな
いのちの瞬き
この星の囁きがいつまでも
生きもののこころを
結びあいますように

ぞうさん 見守ってください
宇宙に花ひらいたあなたのつぶらな瞳
この星のこころを宿す あなたの
愛しい瞳で



「 愛しい瞳 」( 了 )

TOPページへ

@ 愛しい瞳:
連作詩目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system