高畑耕治の詩


お花のお話、聴いてごらん



  ひかりのどけき春の日に


垣根のみどりにほら
小さくほわり ほのかな白
なにかな なんの お花だろ?
いちまいいちまい散って もいちど
咲く桜

あなたの黒髪にもほら

初恋色に
咲きました



  夏の花 鎮魂歌


線香花火
悲しみの瞳
ぽっと灯り
ぽっとり
落ちる

夜空ふかく
燃え
ちりちり散りゆく
老いた星と
ともに

線香花火
鎮魂の歌
忘れられない
忘れない
面影かおる
夏の花

ちりちり散って
心の瞳に
萌え

もう
消えない



  秋の瞳


ねむの木の花
優しいうすもも
風にしなう
ちっちゃな孔雀の
扇かな?

ねむの木の実は
豆の実ぶらんこ
風にゆれ
みの虫さんも
ぶらんぷらん

柿の実きみどり
ゆれ熟れて
風に歌うよ
甘いかな?
渋いかな?
食べてごらん

おれんじおんなじ
金木犀
風の甘さに
おどろかれぬる

きみどりうなじの
きりんさんだね
まんじゅしゃげ
お空に憧れ
夕陽に焦がれ
真赤な瞳
ながい睫に
秋の愁い
燃えあがる



  ゆきやこんこ


土のおふとん
種ねむろ
生きぬくための
冬眠の

ふかいねいき
こんこん と

こんこ こんこ
ゆ め こ ん こ
 こ ん こ
  こ ん こ
 は な こ ん こ



  四季


あなた
お花のよう
  好き

あなた
四季のよう
  好き

  四季
 お花
大好き


  *次の言葉は好きな作品、作者によります。


    ・ ひかりのどけき春の日に 紀友則
     「 ひさかたのひかりのどけき春の日に
       しづこころなく花のちるらむ 」
    ・ 夏の花 鎮魂歌 原民喜 小説名
    ・ 秋の瞳 八木重吉 詩集名
    ・ おどろかれぬる 藤原敏行
     「 秋きぬとめにはさやかにみえねども
       風のおとにぞおどろかれぬる 」
    ・ ゆきやこんこ 小学唱歌 作詞者不詳


「 お花のお話、聴いてごらん 」( 了 )

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