高畑耕治の詩


十四歳。いのち、巣立ち。



  公園で
   ( 福島の同窓生に )


小二の妹 わたし中二
近くの公園
遊びにいったの
五 六年生かな? 女の子たち
大きな滑り台 小さな富士山
駆け登り 滑り降り
はしゃぎ声

駆けあがり 頂上の友だちの手に
つかまり 登頂
離し 滑り降り
また 登り

わたし見つけてしまったの ああ
ネットのカキコミ
「 避難民、よそ者のくせに、
 偉そうにすんなよ。
 放射能うつるだろ、
 キモイから近寄んなよ 」
妹とわたし
転校生 福島の
海辺のまちからの

仲間はずれの 擦り傷 とても痛い
突き落とされ こころ砕けそう
大人たちのいじめ社会
まねなくていいのに
ほんとは帰りたい
帰れないだけなのに

わんぱく坊主 男の子の大将は
お山の頂上 独り占めしたがるけど
公園のお山のうえの女の子たち
引っ張りあげてた
滑り落ちそうな友だちに
手をさし伸べて

妹 楽しげに見てた
わたしの横でほんとは うずうず
五 六年生 感じてくれたのね
「 いっしょに遊ぶ? 」
って
わたし見あげた妹に
こっくり
妹 駆け登っていった
まぶしい笑顔で

夕陽もう茜色 小さなお山染め
逆光に妹たち 影絵のシルエット
帰宅うながすチャイム響いて
流れた音楽
ああこのメロディー
あのころのふるさとの

茜色の旋律に溶けだしたの
見えたの わたしの
大切な小学校
あのなつかしい教室 校庭
散り散りにされてしまった
大好きなお友だち 先生
手をふってくれてる わたし
駆けだしたの
福島の みんなに向かって

会いたいよお


「 十四歳。いのち、巣立ち。・公園で ( 福島の同窓生に ) 」( 了 )

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